6月24日月曜22時からNHKから逆転人生が放送されます。今回は山口県の日本酒 獺祭を造る旭酒造の桜井社長が登場します。ニューヨークで建設している酒蔵が来年に完成予定です。それをふまえてどういった内容の放送になるのか気になります。メディアに掲載されている社長へのインタビューを読むと、ニューヨークの蔵ではカリフォルニア米を使って獺祭とは別銘柄の日本酒を造るそうです。水も日本酒造りに適した軟水が使えるそうで、どんな味の日本酒ができるのか非常に興味があります。「アメリカ産の日本酒を日本に輸入して我々日本人が楽しむ」なんていう日がいつか来るのでしょうか?
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国内での売り上げが好調な旭酒造
日本酒業界の売り上げは右肩下がりです。しかし旭酒造は売り上げを伸ばし海外進出するまでに急成長しています。
日本酒の出荷状況
◯日本酒の国内出荷量は、ピーク時(昭和48年)には170万kℓを超えていたが、他のアルコール飲料との競合などにより、近年は50万kℓ台前半の水準まで減少。
◯ 一方、日本酒全体の国内出荷量が減少傾向で推移する中で、消費者の志向が量から質へと変化してきており、 特定名称酒(吟醸酒、純米酒等)の出荷量は増加傾向で推移。
農林水産省 日本酒をめぐる状況より
参考資料
平成31年3月国税庁酒のしおり 清酒のタイプ別移出数量の推移
清酒メーカー売上高ランキング
順位 | 蔵元名 | 主力銘柄 | 売上高 |
1位 | 白鶴酒造(株) | 白鶴 | 348億円 |
2位 | 月桂冠(株) | 月桂冠 | 274億円 |
3位 | 宝ホールディングス(株) | 松竹梅 | 248億円 |
4位 | 大関(株) | 大関 | 164億円 |
5位 | 日本盛(株) | 日本盛 | 148億円 |
6位 | (株)小山本家酒造 | 金紋世界鷹 | 114億円 |
7位 | 菊正宗酒造(株) | 菊正宗 | 110億円 |
8位 | 旭酒造(株) | 獺祭 | 108億円 |
9位 | 黄桜(株) | 黄桜 | 100億円 |
10位 | オエノンホールディングス(株) | 福徳長・大雪乃蔵 | 91億円 |
11位 | 朝日酒造(株) | 久保田 | 86億円 |
12位 | 八海醸造(株) | 八海山 | 62億円 |
2017 年 12 月 21 日帝国データバンク2016年度清酒メーカー売上高上位20社のうち12社
旭酒造は2020年にはニューヨークに蔵を完成させ、さらなる飛躍を果たしそうです。
では現在獺祭は海外ではどのように扱われているのかを見てみましょう。
「獺祭が飲める店」「獺祭が買える店」という情報が旭酒造ホームページに掲載されてい
ます。これを見ると既に多くの国で楽しまれているようです。
海外で獺祭が飲める店
アメリカ(75店鋪)
- ニューヨーク(35店鋪)
- ボストン(2店鋪)
- シアトル(1店鋪)
- ロサンゼルス(18店舗)
- サンフランシスコ(10店鋪)
- ハワイ(9店鋪)
フランス
- パリ(7店鋪)
モナコ
3店鋪
ギリシア
- アテネ(2店鋪)
カナダ
- バンクーバー(4店鋪)
イギリス
- ロンドン(5店鋪)
オーストラリア
- メルボルン(4店鋪)
シンガポール
6店鋪
台湾
- 高雄(1店鋪)
タイ
- バンコク(1店鋪)
108店鋪ありますね。アメリカが多くて、その中でもニューヨークがダントツです。どの国でも居酒屋・バー・和食レストランでの取り扱いが多くを占める中、ニューヨークはラーメン屋やうどん屋に獺祭をおいています。変わっていますね。蕎麦屋で日本酒はありますが、ラーメン屋で日本酒というのは組み合わせとしてどうなんでしょう?日本とアメリカでは日本酒を飲むスタイルが異なるのでしょうか?
これを機会に調べると海外での日本酒の面白い情報がたくさん出てきます。
- 有る国での日本酒の味の評価は酸味の有無が重要な要素になる。(有る方がいいそうです)
- 日本ではさほど有名ではない銘柄が人気がある。
- イタリアではかつて中国で作られた酒が日本酒として販売されていたが、温度管理がまともにできていなくてとても飲めたものではなかった。そんな劣化した酒が日本酒として定着していたためイタリアでは日本酒のイメージが悪かった。
- ラーメンチェーンの一風堂は世界各国に展開している店に日本酒を置いていて日本酒の普及に力を入れている。シンガポールの店には160種類もの日本酒をストックしている。
など挙げるとキリががないのですが食文化が異なると飲み方や味の好みも違うようです。
海外で獺祭が買える店
獺祭は海外でも購入できます。
アメリカ
ニューヨーク(3店鋪)
ロサンゼルス(5店鋪)
サンフランシスコ(1店鋪)
ニュージャージー(1店鋪)
香港(4店鋪)
台湾(9店鋪)
マカオ(2店鋪)
タイ
- バンコク(1店鋪)
フランス
- パリ(2店鋪)
- 地方(4店鋪)
ベルギー
- ブリュッセル(1店鋪)
ブラジル
- クリティバ(1店鋪)
- サンパウロ(1店鋪)
海外で獺祭が買える店は35店舗です。獺祭が「飲める店」と「買える店」では国の構成がかなり違いますね。取扱店舗も「買える店」は少なく「飲める店」の3分の1です。
パッと見ると何を基準にそれぞれの都市に売り込んだのだろう?と疑問に思いますが、JETROと国税庁の作成した「日本酒輸出ハンドブック」という資料によると、国際的な食の見本市が開かれた都市で販売しているのかな?と推測できます。
SIAL CHINA (上海) 中国最大級の食品・飲料見本市
EQUIPOTEL(サンパウロ) 50年の歴史を持つ、南米で最大級のホテル・レストラン関連見本市
SUMMER FANCY FOOD SHOW (ニューヨーク)
米国東海岸最大級の総合食品見本市FOOD EXPO (香港) 香港最大の国際食品見本市。日本からの出展数は参加国中最大
WINTER FANCY FOOD SHOW (サンフランシスコ)
日本食ユーザーが最も多い米国西海岸 で最大級の食品見本市International Wine & Spirits Fair (香港)
アジア最大級の酒類専門見本市PROWEIN (デュッセルドルフ) 世界最大のワイン&スピリッツ見本市
Thaifex (バンコク) アジア最大規模の国際食品見本市
SIAL (パリ) 欧州最大級の食品・飲料見本市。日本 からは、飲料、調味料、米を中心に出品されている
IFE (ロンドン) 英国最大の総合食品見本市
2018年3月JETRO農林水産食品部・国税庁酒税課発行 日本酒ハンドブック 33ページより
ではなぜ獺祭はここまで国内で成功を収めて海外進出するまでになったのでしょうか?
獺祭が好きだった一人の飲み手の立場から考えてみました。
私が感じた獺祭の魅力
- 獺祭は香りが華やか
- フルーティーな味わいで日本酒に対するイメージが変わった
- 全て純米大吟醸
- 全て山田錦を使用
- その割に安い(安かった)
獺祭は香りが華やか
私が初めて獺祭を飲んだ時日本酒がこんなにいい香りがするものだということを知らなくてとても驚いたことを覚えています。最近では米焼酎の鳥飼でも同じ印象を受けて驚きました。
フルーティーな味わいで日本酒のイメージが変わった
これも驚いたことの一つで、香りだけではなくて、日本酒は米でできているはずなのにフルーティーな味がすることに驚きました。これも米焼酎の鳥飼で同じ印象を受けました。獺祭は日本酒で鳥飼は焼酎ですが、両方とも日本酒や焼酎のイメージを覆すような酒です。

全て純米大吟醸
私は獺祭を飲み始めた頃は日本酒の事は全くわからなかったのですが、日本酒の中でも一番コストがかかる贅沢な規格です。
全て山田錦を使用
現在山田錦は酒米の中では最高級とされていて、日本酒で使われる量もダントツで一位になります。獺祭の酒米は全て山田錦を使っています。
毎月飲める
獺祭は四季醸造です。年中酒を造っているので出来上がって店に入荷されれば購入することができます。他の日本酒はそういうわけではありません。定番の酒を造っている蔵もありますが、大抵は寒い冬場に酒を造って気温が高くなる春の後半から初秋の頃までは酒造りをしません。そのため、美味しいと思った酒があってまた飲みたいと思っても、翌年にならないと飲めないのです。
その割に安い
全て山田錦で純米大吟醸なのに「獺祭 50」は1800ml 2,500円でした。これは破格の値段でした。その後桜井社長のTV出演をきっかけに人気に火がつき2013年の10月以降値上げされています。人気が出れば生産量が増えます。生産量が増えれば原料である米が足りなくなります。その時の苦しい状況が値上げのお願いで語られています。
その後値上げ(2,850円)を経て2019年4月1日から獺祭50は生産終了となり、獺祭45になり値上げ(3,000円)されています。これらはやむを得ないことですね。しかし値上げ前の2,500円だった時代は値段以上の美味しさを感じるお得な酒だったように感じます。

獺祭にはこれだけ多くの飲み手に嬉しい特徴があり、他の蔵とは違っていつでも同じ味が楽しめたことが爆発的な人気につながったのではないかと思います。私自身、獺祭が品薄になって買えなくなるまでは獺祭ばかり飲んでいました。
その後旭酒造は蔵を増築して生産量を増やし品薄の状態は改善されました。買いやすい状態になるまで1年以上かかったと記憶しています。しかしその頃には私は他の酒に乗り換えていました。いろんな酒を飲むと他にも美味しい酒はいくらでもあるというのが一番の理由です。
ただ、そんな美味しい酒でもいつでも簡単に買えるかというとそうではありません。美味しい酒は人気があります。人気のある酒は抽選だったり抱き合わせで余計な金がかかったりしてなかなか買えません。その点において、いつでも同じ美味しさで手軽に買える獺祭は他の日本酒とは違って飲み手に優しいのかなと感じます。
獺祭のような酒は他にないのでしょうか?
獺祭は国内で成功して海外へ進出しています。ではこれから第二の獺祭になろうかという日本酒はないのでしょうか?
美味しいことはもちろん・四季醸造でいつでも買える手軽さ・全て純米大吟醸・美味しい割に安いという点で人気に火が付く前の獺祭と同じように感じる銘柄があります。
新潟県の加茂錦酒造が造る「荷札酒」です。田中杜氏はまだ二十代ということもありまだまだこれから飛躍が期待できそうな酒です。獺祭と違って酒米も様々なものを使用していて、新しい味に出会えるというところも楽しみの一つでもあります。日本酒は人気が出始めるとなかなか買いにくくなります。値段は手頃でネットで購入できます。一度お試しになってみてはいかがでしょうか?

旭酒造が海外進出する理由とは?
今回の放送が単なるバラエティなのか、過去の苦労した時代の話をするのか内容がわかりません。個人的には下のような内容のことも放送されると嬉しいですね。
- 海外進出する理由
- 日本酒を海外輸出する際の障害
- 海外に製造拠点になる蔵を作る理由
- 海外での日本酒の評価と将来性
- 現在海外進出している他の日本酒の銘柄と獺祭の違い
これらについて番組の中で放送されるでしょうか?されないでしょうか?
どんな風な放送なのか楽しみに観てみようと思います。
獺祭の購入について
まさか獺祭が品薄になるとは思っていませんでしたが昨日の放送で在庫が切れかけている店もあるようです。しかし獺祭は少し待てば入荷してきますのでもし定価で見つからないのなら少し待ちましょう。
なお、ネットで購入される方で関西地方の方はG20サミットの影響で今週中には到着しない可能性が高いようです。Amazonでも同様です。関西地方の方はできれば店頭に足を運ぶことをお勧めします。
いや、それでもネットで構わないという方は定価で買いましょう。まさかプレミア付きで売っているとは思わなかったのですがプレミアがついている店もあります。下に特約店のリンクを貼っていますので確認してみてください。
オススメの獺祭
一番のオススメ
私は獺祭純米大吟醸45をお勧めします。
一番安いですが日本酒の中で純米大吟醸は一番高い規格です。米を削れば削るほど美味しいのかというとそんなことはありません。
二番目のオススメ
ちょっと贅沢をしたい方は三割九分がお勧めです。
あんまりオススメしません
二割三分はオススメしません。二割三分と三割九分の違いは私はわかりませんでした。あくまで私の印象ですが、価格ほどの違いは無いという印象です。45・39・23の飲み比べセットもありますが、プレミア付きが多いので紹介していません。
獺祭 定価一覧
税込価格
獺祭 純米大吟醸 45 | 720ml | 1,620円 |
獺祭 純米大吟醸 45 | 1800ml | 3,240円 |
獺祭 純米大吟醸 39 | 720ml | 2,494円 |
獺祭 純米大吟醸 39 | 1800ml | 4,989円 |
獺祭 純米大吟醸 23 | 720ml | 5,292円 |
獺祭 純米大吟醸 23 | 1800ml | 10,584円 |
獺祭 特約店
獺祭はどこへ行けば買えるのか?という方のために旭酒造ホームページに正規特約店が掲載されています。都道府県別の地図が掲載されているので簡単にわかります。
再放送の案内
見逃した方や、再度見たいと言う方へ
放送予定時間