而今・十四代が定価で買える店
而今

最高級素材使用 而今 特上雄町 50,000円・飲み比べの田酒

6月にお勧めできる日本酒が有りません。今月は何も買わずに今までたまっていた日本酒を飲む日々です。では6月は何も魅力的な酒がないのかというと、そういうわけでも有りません。私は買いませんが比較的買い易くて人気の日本酒が数点発売されています。なぜ買いやすいかというと高額だからです。私が6月に気になるそれらの日本酒ご紹介したいと思います。

※値段は税抜きです

田酒 飲み比べ 純米酒セット 各720ml

値段

  • 4,600円

精米歩合

  • 美山錦 67%
  • 酒こまち 68%
  • 華吹雪 69%

田酒にしては珍しく低精米歩合の日本酒です。それぞれ精米歩合が1%ずつ違います。
この酒の由来は西田酒造に自転車競技部があり、その活動の一環として「チャレンジヒルクライム岩木山」という山登り自転車レースに毎年参加しているそうです。
ゴール地点岩木山(1625m)8合目まで続くカーブの番号になぞらえているそうで、ゴール前最後のカーブが69番目に当たります。美山錦・酒こまち・華吹雪でゴールということでしょうか?飲み比べが楽しめそうなセットです。しかし美味しくて気に入ったとしても次はいつ発売されるのかわかりません。

私が店頭やネット販売を確認した限り定価単品販売の店が多かったです。タイミングさえ合えば買うことができましたが、6月21日現在ほとんどの店で売り切れているようです。私は昨年で田酒を買うことをやめたので購入していません。もし興味を持った方は、もしかしたら今週日曜日ネットで定価販売があるかもしれませんので注意しましょう。ちなみにその店はいつも他に3,000円以上の酒を買うことを要求してきます。その店はこちらで紹介しています。

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追記

予想通り6月23日12時より7セット発売されます。
3,000以上他の酒を買うことが購入条件になっています。
つまり先着7名まで購入可能で8,000円以上の支払いが必要です。

  • 3,000円プラスして買うのならポイントが付く方がいい
  • プレミアがついても同じ価格なら今すぐ買える方がいい

上の条件に当てはまる方は楽天で販売しているのでこちらでどうぞ。

田酒 飲み比べ 純米大吟醸セット 各720ml

値段

  • 10,000円

精米歩合

  • 短稈渡船 40%(たんかんわたりぶね)父
  • 山田穂 40%(やまだぼ) 母

こちらは毎年発売されている「酒米 山田錦」の父母のセットになります。私は値段が高いので買ったことが有りません。私が通う店では毎年数週間売れ残っています。

※定価単品販売です。

なお、山田穂は昨年飲んだ日本酒の中で、最も美味しかった酒で使用されている米でした。しかしそれは田酒ではなく「くどき上手」です。田酒の山田穂はどうでしょう。酒米の中で最上とされている山田錦の両親に当たる米を飲み比べるというのも面白そうです。

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もう田酒を買うのをやめたので積極的にお勧めする理由は無いのですが、今月は純米酒と純米大吟醸の飲み比べを合わせると5種類の飲み比べができます。さらに精米歩合50%の短稈渡船と出羽燦々も発売されているので、ありとあらゆる組み合わせで田酒が楽しめる月です。

純米大吟醸セットはもともと定価が高いだけあって定価単品販売されている店が多いです。
買い逃したけど興味があるという方はこちらでどうぞ。

 

田酒 出羽燦々 720ml

値段

  • 2,300円

精米歩合

  • 出羽燦々 50%

購入条件

6月21日22時現在在庫39本 購入条件3,240円以上他の日本酒を購入した方

而今 特上雄町 純米大吟醸  720ml

先々週あたりから而今の案内がメールで届いています。写真を見ると漆黒の四合瓶です。この色の瓶は初めてで値段は5,000円です。高いな。高いけど而今はこれくらいの価格帯が丁度いい。値上げした分買いやすくなったのかなと思いました。


写真は酒仙洞堀一HPより

720ml 50,000円の日本酒

しかし見たことが無い瓶なので何の酒米か気になります。よく見ると特上雄町と書いてあります。なるほど特上なら高いのも仕方がないかと思いながらも違和感を感じます。0の数が多くないか?よく見ると50,000円と書いてあります。5,000円ではなく50,000円です。720mlの日本酒が50,000円です。何かの間違いではないか?と思い、他店舗のメールも見ましたがこれは特別な酒米であることや、限定で1,000本しか販売されないことがいつも以上に熱心に語られて最後に50,000円と記載されています。

私の頭の中では「50,000円の日本酒、買いますか?買いませんか?」というセリフがグルグル回っています。日本酒の世界において限定という言葉に大した意味はありません。ほとんどの地酒が限定発売だからです。全国4店鋪限定、あるいはtype-Hという店舗限定の名前の酒すらあります。100本限定もあれば蔵元自体が年間1升瓶で8,000本の量しか生産しない蔵もあります。そもそも発売している店が特約店のみという制限がついています。限定という言葉は空しいだけです。しかし人は限定に弱いです。私も限定に弱いので、いつも「日本酒の限定に意味は無い」と言い聞かせています。

50,000円の而今を購入するのか?しないのか?

仮に私がこの酒を買って嫁に見せたとしましょう。

「久しぶりに而今が抱き合わせ無しで買えたよ」

「よかったね〜」

私が嬉しかったことを自分のことのように喜んでくれる嫁です。ニコニコ微笑んでくれています。

「でも珍しいね。いつも抱き合わせばっかりって文句言ってるじゃない?」

話を広げて私の喜びをさらに聞いてくれようとする嫁。最高に可愛いです。

「いやこれが限定らしくてね。全国で1,000本しか発売されないんだって。」

私は嬉しいはずなのに何故か店と同じ説明になっています。後ろめたさからくる「限定」の言い訳です。限定なら許されるだろうという甘えですね。それを嫁が聞き逃すわけがありません。

「あれ?あなたいつも日本酒の限定なんて意味がないって呪文みたいに唱えてるじゃない」

私は愛する嫁の雰囲気が変わってくるのを感じています。空気が少しぎこちなくなったような気がします。

「いくらだったの?」

突然クライマックスがやってきます。鋭い!!なんて鋭いのだろうと感心して惚れ直します。

私は嫁の顔を見ることができません。私の喜びを自分のことのように喜んでくれていた嫁。その嫁が若干戸惑っているように感じます。

「50,000円!!」

開き直って力強く宣言します。

嫁の顔がみるみる曇っていきます。

こんな顔をするのは結婚して以来初めてです。

結婚会見で幸せそうに笑っていた蒼井優の笑顔が曇っていく様なイメージです。

初めて嫁を裏切ってしまった!!まるで浮気がバレたような心境です。

しかし幸い私は結婚していないのでこの程度の妄想では購入のブレーキは効きません。

50,000円あれば何ができるかな?

そういえばこの前の十四代の抱き合わせは3万弱だったな。

ここで若干ブレーキが効き始めます。

そういえば高砂。そういえば高砂。と高砂を思い出します。

ここで完全にブレーキが効きました。

私はいい酒は高く売れるべきだと思っています。需要と供給のバランスの取れる価格をつけて欲しいのです。

しかし50,000円は突き抜けすぎです。

何故こんなに高いのかというと使用している酒米に理由があります。
蔵元からの公式見解が特約店で紹介されていました。

木屋正酒造合資会社(三重県名張市、社長 杜氏:大西 唯克)は、岡山県産特上雄町を使用した「而今 特上雄町 純米大吟醸」を、2019年6月18日より販売いたします。

この度、木屋正酒造はご縁を頂き28俵の特上雄町でお酒を醸すことを任されました。農家さんの努力を無駄に出来ないプレッシャーもありますし史上初の米で醸せる喜びがあります。今回はせっかくのお米なので削りすぎる事なく精米歩合は純米大吟醸の王道の40%にしました。

「雄町の酒米等級で特上は史上初!世界にたった28俵!」 特上の発生比率0.1% 雄町は100年以上前に発見されました。栽培が続けられている酒米の中で、混血のない米は雄町だけです。品種改良が行われていない古代品種のため、栽培は非常に難しく、穂が長く全体に登熟しないため、通常出来上がったお米は1等2等が主体でした。それゆえ、昭和26年農産物検査法が出来て依頼、雄町の特上は世に出ていません。雄町で特上を出すのは農家さんの悲願でした。そして、平成30年秋、農家さんの努力が実り、わずか28俵だけが特上の等級がつきました。

1859年(安政6年)備前国上道郡高島村雄町(現在の岡山市中区雄町)の岸本甚造が伯耆大山参拝の帰路で珍しい品種の米を発見した。さっそく二穂を譲り受け雄町に持ち帰って栽培し、1866年(慶應2年)に、この新種に「二本草」と名づけた。その後、雄町の地名を取り「雄町米」と呼ばれるようになりました。酒造米の代表銘柄「山田錦」「五百万石」は「雄町」を交配して生まれました、現存する酒造好適米の約2/3は雄町の系統を引き継がれています。

雄町の特性:
・草たけが長く(170cm位)たおれやすく、病害虫に弱い
・穂が長く、全ての穂に登熟が悪く、未熟粒が多く等級が悪い。通常1つの穂に100粒位であるが、雄町は200粒近く有る
・2.1mmでのフルイでも、青米が残り等級比率が悪く反収が悪い
・草たけが長いため、肥料を多くやると、背丈が伸び倒れる
・一般の生産者さんは、非常に作りにくい品種で、あまり手を出さない
・以前は2等3等が大半でしたが、最近は生産者の技術が向上し、1等比率の高くなり、特等もごくわずかですが出回るようにはなったが、昭和26年に農産物検査法が出来て依頼、特上の検査実績は無い。

特上雄町を目指すにあたり、倒れやすい稲の幹をしっかり、穂を短く栽培する、出きるだけ良い水田を選ぶなど様々な試行錯誤を繰り返すことにより、平成30年産で初めて特上を獲得しました。
酒仙洞堀一HPより

私は50,000円もの日本酒を平常心で飲めません。店で飲んでも最低一合(180ml )12,500円はしますね。一勺(いっしゃく18ml)でも1,250円です。
酒を飲んでいるのに、金が消えていくというイメージしか持てないような気がします。

6月に気になった日本酒をご紹介しました。私は飲んでいないのですがどれも楽しめそうです。田酒は飲み比べですね。同時期にこんなに数多くの種類が出揃う事はなかなかありません。貴重です。

而今で気になったのは「貴重な酒米を使うとそれに見合った美味しい日本酒ができるのか?」という事ですね。米の希少性で値段が高くなる事は容易に想像できます。しかし抜群の美味しさになって50,000円という値段に相応しい酒になるのでしょうか?希少性の50,000円なのか美味しさの50,000円なのか飲んでみないとわかりませんね。素材の価値と味は比例するのか飲んだ方の感想を聞いてみたいものです。いずれにせよ而今は「高級素材の高価な日本酒を飲んだ」という経験を人に語ることで十分元が取れそうな気もします。