而今・十四代が定価で買える店
日本酒雑記

日本酒と蔵元を紹介するテレビ番組 WOWOW「銘酒誕生物語」十四代・而今 4月放送

以前BSテレビのWOWOWで「銘酒誕生物語」という番組が放送されていました。
「十四代・而今」をはじめとする様々な日本酒と蔵元が特集される硬派の日本酒オンリーの番組です。2018年に再放送が何回かありましたが、ここしばらく新作は放送されていませんでした。しかし最近復活して放送が再開されています。

銘酒誕生物語

而今 4月1日月曜日 19時40分 放送 WOWOW
十四代 4月6日土曜日 午前10時放送 WOWOW

番組放送予定

放送局:WOWOW
放送時間:不定期

【2019年の放送済み回】

2/13 岩手 南部美人
2/14 福島 奈良萬
2/16 継承と革新が生んだ至極の酒 神奈川編
2/19 愛知 醸し人九平次
2/21 京都 蒼空
2/22 山口 東洋美人
2/23 継承と革新が生んだ至極の酒 山梨編 
2/24 広島 富久長

※放送済みの番組も今後再放送される可能性があります。

は初めて放送されます。WOWOWは再放送を行うので見逃しても番組名で予約録画しておくと勝手に録画してくれています。

【今後の放送内容】

4/1 月 19時40分
三重 而今

4/6 午前10時
山形 十四代

3/4 月 深夜1時30分
岐阜 初緑

3/11 月 深夜1時30分
静岡 喜久酔

3/13 水 18時30分
宮城 日高見

3/14 木 13時30分
秋田 一白水成

3/18 月 深夜1時30分
福岡 三井の寿

3/27 水 13時30分
佐賀 七田

3/31 日 深夜3時
栃木 鳳凰美田

    • 十四代の髙木顕統氏が監修しています。
    • 蔵元と日本酒に焦点を当てた番組です。
    • スタジオトークやCMはありません。
    • 30分弱のドキュメンタリーです。長すぎず短すぎずちょうどいい時間です。
    • 映像が美しいです。
    • さりげなく日本酒の基礎知識が披露されます。とても分かりやすいです。
    • 入会月は無料 翌月解約で1ヶ月分の料金で2ヶ月視聴ができます。

具体例を見てみましょう。私の好きな「東洋美人 一番纏」を造る山口県の澄川酒造の回です。「東洋美人 一番纏」は2016年に安倍総理がプーチン大統領と首脳会談を行った際に振る舞われた酒として有名ですね。

山口県 澄川酒造 「東洋美人」番組ダイジェスト

番組の序盤は高木氏のインタビューから始まります。
酒造りをする上で重要なことな何なのかをインタビュアーが高木氏に尋ねます。

Q.日本酒造りをする上で重要なことは?
A.米作りが大事です。契約栽培でも構わないので自分たちの目で見て米を栽培すること。

Q.中国地方の酒蔵を取材したい。中国地方で米にこだわっている酒蔵は?
A.東洋美人の澄川酒造です。

高木氏は澄川酒造4代目澄川宜史氏を若手ナンバー1の醸造家と評します。

この回は高木氏は米作りの観点から蔵元を紹介するようです。

なぜ澄川酒造を選んだのかはこの番組全体を通して観るとよく分かります。

澄川酒造の風景と一日

まずは蔵元近辺がどのような地形なのか美しい映像で紹介されます。
蔵のある山口県萩市の美しい海と山合い、田んぼと川の風景が映し出されます。
その映像とともに蔵元の歴史を米作りの観点から解説していきます。
澄川酒造は山田錦にこだわっています。

蔵元の一日を朝から解説していきます。非常に丁寧に酒がどのように造られるのか解説されます。私たちの飲む酒がどのような工程を経ているのかがよくわかります。澄川酒造は蔵人(くらびと)が作った米も使用しています。通常精米は精米業者に任せるそうですが、澄川氏は自分たちで行います。それは全ての過程を自分たちの目で見ることで米を徹底的に管理できるからと澄川氏は言います。作り手としての責任であるとも語ります。

日本酒用語の解説 精米歩合

吟醸・大吟醸の違い(精米歩合)など基本的な日本酒の知識が映像で解説されます。わかりやすいです。

日本酒用語の解説 桶売り

桶売りについても解説されます。澄川氏の父の代は桶売りをしていたそうです。
(桶売り=大手酒造メーカーの下請け)

日本酒用語の解説 石高

石高をご存知でしょうか?石高を一升瓶の本数にしてさらっと分かりやすく解説してくれます。4代目が継ぐまでは蔵の生産高は「200石(こく)=一升瓶2万本」だったそうです。
蔵の生産量を語るときに「石高(こくだか)」を使うことが一般的です。しかし今時生産量を「石(こく)」で表現することは日本酒くらいしかないでしょう。一般的ではない表現方法を分かりやすく解説してくれます。そして現在は「1000石=一升瓶10万本」まで成長したそうです。自分の好きな蔵元は何石造っているでしょう?銘柄の数から逆算していくと「少量生産だから手に入りにくいのか」なんて計算ができます。

澄川氏と高木酒造の縁

高木酒造との繋がりがここで紹介されます。東京農業大学に入学した当初の澄川氏は蔵元を継ぐという漠然とした意識はあったものの将来のビジョンは描けなかったそうです。また酒を造るのではなく、経営者として酒蔵の経営に携わるものだと思っていたそうです。
しかし授業の一環の研修プログラムで高木酒造で研修を受け、自分の蔵との酒造りの違いに衝撃を受けたそうです。その時の澄川氏の様子が高木氏から語られます。センスがよく、理解力があったそうです。また応用力が高く、1つの指示をすればその先のことまで見通してプラスアルファの準備ができる学生だったそうです。

2ヶ月間の研修で、澄川氏はさほど自分と歳が変わらない高木氏が経営者として酒造りに携わっていることに衝撃を受けたそうです。酒は杜氏が造るものだった時代に経営者が酒を造っていたことが斬新だったのですね。酒蔵を継ぐ息子でありながらさほど酒造りに関心を持てなかった澄川氏が、当時から一流の道を歩んでいた高木氏と十四代を造る蔵人を目の当たりにして、自分もこの道で生きていくんだという確信を得たそうです。

酒造りと米のこだわり

研修当時の様子と澄川酒造に戻ってからの酒造りの苦闘を澄川氏がインタビューで振り返ります。杜氏が退職して、初めて自分で造らなければならなくなった酒の出来について語ります。それまでの東洋美人とは違って雑味の無い香りの高い酒が造れたそうです。その酒が今の東洋美人の原点になるのですね。

「化学・物理・生物」の観点から酒造りを突き詰めることが造り手としての責任であると澄川氏は語ります。この三つの観点は原料である米を徹底的に管理することだそうです。
ここから米へのこだわり、水分コントロールについての解説が行われます。
映像とともに澄川氏が分かりやすい解説をしてくれます。
他の蔵は酒造りの工程の中で温度管理を徹底するそうですが、澄川氏は水分コントロールを重視しているそうです。水分コントロールを行うことがどのような影響を与えるのかについて映像や米の断面を見せながらの解説を行います。

近年異常気象で米が硬い年というのがあります。米が硬いと溶けにくいとうことで味に影響が出ます。28BYは米の硬い年で私の好きな花陽浴も前年に比べると味が落ちました。昨年は記録的な猛暑でした。どうやら30BY(今年)も28BYのような傾向(米が硬い)があるのではないかといわれています。なぜ硬いと味が落ちるのかについてのヒントがこの解説の中に散りばめられているように感じます。

山田錦への想い

山田錦は兵庫県の一部地域で少量しか収穫できないため、憧れの米だったそうです。
酒蔵として後発だった澄川酒造は、山田錦を買いたくても買えなかった時代がありました。
それが現在は山田錦栽培の第一人者の永谷氏の尽力があって蔵の近くで収穫できるようになりました。その結果、山田錦への強いこだわりができたそうです。

東洋美人とは「稲をくぐり抜けてきた水」

東洋美人は「稲をくぐり抜けてきた水」でありたいと澄川氏は語ります。

「東洋美人372」「東洋美人611」「東洋美人437」は田んぼの番地だそうです。
ワインでいうテロワールを意識しているそうです。日本酒においても収穫した米の場所を意識したいという想いから付けられた名前です。こういう話を聞くとどんな味なのか興味が湧いてきます。611は蔵人が蔵の裏の田んぼで造った米を使用しているそうです。

長年の友人であるという福岡県のとどろき酒店、轟木氏がこの「番地シリーズ」についての感想を述べています。

「同じ山田錦なのに、田んぼ違いでこういう表現方法ができるということに日本酒の深み奥行きを感じる」

これが「東洋美人の回」のおおよその流れになります。

銘酒誕生物語を見逃した方!!まだ見れますよ!!

WOWOWに入会している方がWOWOWオンデマンドというネット放送で視聴することができます。

【WOWOWオンデマンド配信タイトル】
京都 蒼空
岩手 南部美人
福島 奈良萬
広島 富久長
愛知 醸し人九平次
山口 東洋美人

奇跡の復活を遂げた至極の酒 奈良編
奇跡の復活を遂げた至極の酒 群馬編

継承と革新が生んだ至極の酒 神奈川編
継承と革新が生んだ至極の酒 山梨編

究極の山田錦に迫る

WOWOWオンデマンドで視聴できる公式番組表より

WOWOW加入は初月無料!!

WOWOWは入会月は無料で翌月から料金が発生します。

  • 月額視聴料 2,484円(税込)
  • 入会月は無料
  • 請求単位は月単位
  • 3月加入(無料)4月有料(2,484円)
  • 3月加入4月に解約の場合、支払いは2,484円※4月末まで視聴可能
  • 申し込んでから15分程度で視聴可能です。

私はWOWOWに加入しています。しかし観たい番組が無い月は解約します。毎月末にプログラムガイド(番組表)が送られてくるのでそれに目を通して観たい番組が無ければ解約です。ネットでも番組は確認できます。それで観たいなという番組があればまた入会しています。もう20年近い付き合いになります。

銘酒物語をお勧めする理由

私は毎日のように日本酒を飲んでいます。しかし飲みはするもののそこにどんな人が携わっているのか、どんな思いで造っているのかについては詳しく知りません。この番組を見ることでなお一層日本酒を飲むことが楽しくなりそうです。

また、知らない銘柄でもこの番組を見ると飲んでみたいなと思います。今回放送された「東洋美人 番地シリーズ」はもうすでに飲みたくなっています。特に蔵の裏の田んぼで収穫した米で造った「東洋美人611」ですね。以前記事に「東洋美人は一番纏だけでいい」なんて書きましたが俄然興味が湧いてきました。

見逃してた!忘れてた!という方でも観れるから安心です

忙しい時は見る時間がありません。また見逃してしまうこと、録画を忘れることもあるでしょう。そんな時はネットのオンデマンド放送ですぐ見ることができます。またWOWOWは再放送も行いますので予約録画しておけば安心です。私はこの番組を知ったのが昨年で、番組名を予約録画登録していました。今年の2月になってからふとレコーダーの残りが少なくなってるなと思い録画一覧を確認すると「銘酒誕生物語」が大量に録画されていたので驚きました。1年越しです。

現在4月24日までの放送予定が出ています。
今年のゴールデンウィークは撮りためた「銘酒誕生物語」を観ながら日本酒を飲むのもいいかもしれません。

4月以降の銘酒誕生物語番組表

4/1 月 19時40分

三重 而今

4/1 月 深夜0時

奇跡の復活を遂げた至極の酒 奈良編

4/6 土 午前10時

山形 十四代スペシャル

4/8 月 深夜0時

奇跡の復活を遂げた至極の酒 群馬編

4/12 金 午前6時

和歌山 紀土

4/13 土 午前6時30分

滋賀県 松の司

4/17 水 12時30分

兵庫県 龍力

4/20 土 午前6時30分

群馬県 浅間山

4/24 水 19時15分

奈良 みむろ杉

NHKプロフェッショナルの流儀 3月4日放送 雪の茅舎・美酒の設計 齋彌酒造

この記事を書いた直後に、まさかのNHKで真面目な日本酒のドキュメンタリー番組が放送されます。
非常に嬉しい限りです。見逃した方は日曜の13時5分から再放送があります。「プロフェッショナルの流儀」で録画予約をしておきましょう。それでも見逃したという忙しい方は「NHKオンデマンド」で見れます。しかしこちらは残念ながら216円かかります。

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