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霜月祭と奈良の日本酒 風の森

奈良県に御所市という地方自治体があります。普通ならごしょしと読むでしょう。しかしこれはごせしと読みます。読み方の由来は諸説あるそうで、これといった確定的な説は無いそうですが、奈良県で一番人口が少ない市(約25000人 2019年10月1日現在)ということです。

その奈良県御所市において毎年霜月祭(そうげつさい)が行われています。霜月とは11月のことですね。霜月祭は11月の第2日曜日に行われる祭です。何の祭りかというと以下引用します。

霜月祭とは

太陽の力が衰える冬至の季節にあたって行なわれ,生命力の再生を主眼とする。 典型的なものに,各地で行なわれる霜月神楽がある。
コトバンクより

遠山の霜月祭りは現在12月に開催されますが、江戸時代には旧暦霜月(しもつき・11月)の祭りでした。
ではなぜ、その時期に祭りをしたのでしょうか。
それは、旧暦霜月には必ず冬至(とうじ) があったからです。
ご存じのように、冬至は一年でもっとも昼が短く、もっとも夜が長くなります。
たとえば飯田市では夏至の昼間の時間は14時間半であったのにたいして、冬至にはわずか9時間半にすぎません。
そして、冬至に向けて日照時間が短くなるにつれて、緑だった山々の木々は秋になると紅葉し、やがて葉を散らします。
気温もしだいに下がってゆき、高い峰々には雪がかぶり、やがて里にも霜が下り雪が舞い、凍てついた冬を迎えます。
こうした自然現象を、古代の人びとは万物の生命の源である太陽が衰弱し、他のすべても衰える季節と考えたのです。
ところが、冬至を過ぎると一転して日照時間はしだいに長くなっていきます。それを太陽の復活再生と考えました。
この一陽来復(いちようらいふく)となる、太陽の衰弱と再生という重要な節目に、神も人も自然界のすべてが生まれ清まることを願う祭り、それが霜月祭りなのです。
遠山郷の霜月祭りより

昔の人は日照時間が短くなることは太陽の衰弱であると考えていました。しかし冬至を境に日照時間は長くなり始めます。太陽の衰弱と復活の境目が一度にやってくる霜月に自然界の全てが生まれ清まることを願った祭りが霜月祭ということです。日本人であるにも関わらず知らないことが沢山あります。

前置きが長くなりましたが、奈良県御所市の霜月祭において油長酒造が風の森の直販を行うということなので、これは参加する必要があるだろうと考え奈良県御所市に向かいました。

奈良県御所市に行くには

新大阪駅から奈良県御所市は1時間半しかかかりません。御堂筋線と近鉄線を乗り継ぎます。大阪や神戸も観光するなら2日は必要ですね。

奈良県御所市の霜月祭で意外な事実が判明

先に書いたように霜月祭とは伝統的な行事なのかと思っていましたが、少し異なるようです。霜月祭について御所市の子供達が分かりやすく解説をしてくれていました。

なお、趣きを感じさせる案内も立てられています。こちらにも霜月祭の由来が書かれています。

御所市の子供達は仕事ができる!!

霜月祭の由来だけではなく、風の森についても調べてくれています。あの丸いものはなんだろうと思っていた杉玉についても解説されています。

茶色い玉が杉玉です。新酒が出来上がったことを知らせるために吊るすそうです。初めは緑色で、時間が経つと写真のように茶色くなるそうです。

風の森まで行くには時間が足りない

風の森と聞いてそういう由来のある森があるのかと思っていましたが、そうでも無いようです。風の森という名の神社と、神社付近に峠があります。せっかくだから行ってみようかという距離では無いですね。

御所市 霜月祭の風景

釜で焼くピザです。美味しいそうですが大人気で待つのに耐えられそうになかったので食べませんでした。釜を買ってピザを作りたくなります。


近くを歩いていた夫婦も同じことを思っていたようで、「アマゾンで1万円くらいであるよ」なんて話していました。調べてみると家の中でも焼ける釜があるんですね。

立ち飲みは奈良の酒が中心かなと思っていると・・・

なぜか新政主体のメンバーです。コスモスがありませんね。

蔵の前には大和蒸留所もあります

ジンの蒸留所が目の前にあります。最近注目されつつあるクラフトジンです。興味深いですがジンにもハマると肝臓が保たないので口にしませんでした。古民家をリノベーションしたというこの蒸留所がとても不思議な空間でしたね。

イベントが行われていました。

その模様を撮影していた方々

日本酒 風の森の特徴

風の森の特徴

  • 全量 純米酒系 造りは、純米酒・純米吟醸酒・純米大吟醸酒のみ

アルコール添加は一切なし

  • ほぼ生酒です。一部のアイテムを除き、基本的には、火入れせず生酒で出荷されます。
  • 全量 原酒を搾ったまま、一切の割水(水を加え薄める)をせず原酒で出荷されます。
  • 全量 無濾過 搾った後、濾過機(ろかき)やフィルターを一切通さず無濾過で瓶詰めされます。
  • 搾り方にこだわりがあります。

搾り方

しぼり華

風の森のスタンダード。圧搾機のエア圧力を抑え、一般的に責めと呼ばれる部分を除くことでふくらみのある酒質となります。
酒のあべたや 参照

笊籬採り

笊籬状(いかきじょう)のスクリーンを、沈めてモロミと清酒を分離する画期的な技法です。

笊籬状(いかきじょう)のスクリーン

笊籬採り(いかきとり)に使われるスクリーンです。初めて酒屋で風の森について話を聞いた時は、イカ気取り?イカ?気取ってるの????と思っていましたが全くの勘違いでした。写真を見るとイメージがつかみやすいですね。と思いましたがそうでもないですね。

蔵の方に風の森の特徴について伺ってみた

蔵元の方に笊籬採りの特徴を伺ったところ、大きな特徴として通常の絞りと比べると香りに違いがあるそうです。説明してくださる時に「エッセンス」という単語をしきりに使っていらっしゃったので濃縮された香りが楽しめる酒という風に解釈しました。やはり素人相手に笊籬採りの説明をするのは難しいようで、言葉を選んで分かりやすい言葉で答えてくださいました。出来るだけ酒が酸素に触れることなく鮮度や香りを損なわない絞り方ということです。

また、低精米の方が●●ということです。●●というのは何とおっしゃていたのか忘れてしまいましたので●●としています。肝心なことを忘れてしまうとは不覚です。低精米の方がなんなんだろう?と記憶を辿っていますが覚えていません。試飲はほどほどにしないといけませんね。高精米の方がスッキリしていますよと言っていたのは覚えているのですが・・・高精米の酒の方が良いとされる中で価値観を覆して低精米の酒の良さを教えてくれたセリフだったと思うのですが記憶に残っていません。

しかし風の森に低精米の酒が多いのはしっかりとした理由があるようです。一般的には低精米の酒は濃醇で米の味わいが伝わりやすいとされています。

風の森の特徴まとめ

これらの製法を考えると、出来るだけ人の手を加えずに(無濾過生原酒・割水無し)地元産の米の良さがしっかりと伝わる(低精米)、鮮度のいい酒(ほとんど生酒)を飲み手に届けようとしている印象を受けます。誤魔化しがきかないシビアな酒造りをしているとも言えるでしょう。

なお、笊籬採りは大人気です。販売すると即完売という店が多いです。中には条件付きで販売し始めている店もあります。もし見かけた際は貴重なので一度試してみてはいかがでしょうか?ネット販売ではなかなか見当たらない状況です。

風の森の直売

直売で購入しようと思いましたが思い止まりました。5種類の試飲ができます。販売されていたのは雄町と秋津穂です。特別な酒は年末ということで今回はありません。

※人がいない時を見計らって撮影しています。実際は大勢いました。

風の森の直売は年に二回です!!年末には特別な酒が手に入ります

風の森の直売は年に2回で、年末には特別な酒が販売されます。

販売日

12月21日 土曜日9時〜16時
12月22日 日曜日9時〜16時

販売される新酒
  • 風の森しぼりたて純米酒 1,300円
  • 笑う門には福来たる 特別栽培米秋津穂バージョン 1,700円

※どちらも720ml 税込

風の森といえばピチピチとした発泡感です。特別な酒はどうなのかというと、蔵の方に伺ったところ、どちらの新酒も新鮮でいつもよりピチピチだそうです。奈良まで行くのはちょっと・・・という方は残念ですが諦めましょう。私は諦めました。残念です。お近くに住まわれている方はドライブがてらどうでしょう?毎年開始前から行列ができるほどの人気だそうです。羨ましいですね。

風の森 しぼり華 純米 秋津穂

奈良産の米を使った風の森の中でもスタンダードな酒です。こんなに安くていいの?と思うほど安いです。精米歩合は65%です。

味わい

風の森にとって醸造適性に優れた秋津穂は全量が地元の契約栽培米です。秋津穂純米は風の森のスタンダード。しぼってそのままのボリューム感ある味わいをお楽しみいただけます。
蔵元HPより

風の森 純米 しぼり華 山田錦

山田錦を使った低精米の風の森です。色々な品名がありますが「純米 しぼり華」とくると低精米ですね。こちらは精米歩合80%になります。こちらも安いです。儲けはあるのでしょうか?

味わい

低精白でありながら、超低温長期発酵によって山田錦の個性を存分に引き出しました。80%精米ならではのフルボリュームの味わいと独特の酸味がバランスよく調和しています。
蔵元HPより

風の森 純米 しぼり華 雄町

雄町を使った低精米の風の森です。精米歩合80%になります。しつこいですがこちらも安いです。

味わい

低精白でありながら、超低温長期発酵によって雄町の個性を存分に引き出しました。溶解性の高い雄町80%精米ならではの複雑性をそなえた味わい。リッチな甘みと酸味がバランスよく調和しています。
蔵元HPより

風の森 純米 しぼり華 愛山

愛山にしては安いですね。精米歩合は80%です。

味わい

本年もお米の個性を発揮させるため、80%精米で醸造いたしました。マスカットを思わせる軽快な香り。80%精米ならではの、立体感ある味わい。キラキラとした透明感を感じていただける酒質になりました。
蔵元HPより

風の森 純米 しぼり華 露葉風

奈良産米の露葉風を使用しています。精米歩合は70%です。やっと普通の価格ですね。

味わい

奈良県産でのみ生産される酒米、露葉風を使用しています。その心白の大きさは山田錦をしのぐほど。その独特な酸味と渋みとふくよかな甘み旨味のバランスが絶妙。
蔵元HPより

風の森の低精米歩合の酒を集めてみました。この蔵のスタンダードな酒が秋津穂65%で、他は80%がずらっと揃っています。米ごとの違いを飲み比べてみるのも楽しいかもしれませんね。