雪の茅舎を飲んでみたい!と思ったものの、どれを選んだらいいのかよくわからないほど種類があります。日本酒はいろんな銘柄があって分かりにくいのですが、同じ蔵の同じ銘柄でもたくさん種類があるのでさらに分かりにくいですよね。私は初めての銘柄を買うときは、なんとなくですが基準を設けてます。自分なりの基準を作ってしまえば後はそれに当てはまるものを探すだけです。
よく分からない酒を選ぶときに何かの手がかりがないと選べません。そんな時にあまり迷わず後悔しにくい選び方を自分なりに考えておくといいのかな、なんて思っています。

Contents
初めての日本酒を飲むときの私の選び方の基準
私の基準はこんな感じです。
- 純米酒かどうか
- 1800mlではなく720mlから
- その蔵のスタンダードな酒
- その蔵の一番高級な酒
- その蔵が一番力を入れている酒
- 値段が高すぎないか
日本酒は水と米と米麹で造られます。しかしそこに醸造用アルコールを添加する酒もあります。俗に「アル添」と呼んで敬遠する方もいます。
それは私です。
アルコール添加酒とは?
Q.なぜアルコールを添加するのでしょうか?
A.アルコールを添加することで発酵の際に生成される酸や糖などの雑味を抑えることでキレを出したり、酒の香りを引き立たせる効果があると言われています。
Q.そのアルコールはどんなアルコールですか?
A.主にサトウキビが使われることが多いようですが穀物由来のアルコールです。もちろん米で作られるアルコールもあります。このアルコールを36%以下に薄めたものが甲類焼酎になります。ちなみに十四代の高木酒造は焼酎も販売しています。
アルコールを添加している酒は「アル添」と略されることが多いです。なぜアル添酒を敬遠するかというと「あまり色々なものを加えていない酒の方が好き」
という単なる私の好みです。酒の名前に「純米」の文字が入っていればアル添酒ではありません。
アルコール添加酒は美味しくないのでしょうか?
全くそんなことはありません。高木酒造の造る十四代はアル添酒がたくさんあります。また黒龍や菊姫など銘酒と呼ばれる酒にはアル添酒が多いです。
雪の茅舎 5種飲み比べ
実際に飲みながらじゃないと上手く伝えれませんので下の5つを飲みながらどんな風に違うのか紹介してみます。全て純米酒です。
- 雪の茅舎 製造番号酒 純米大吟醸生酒 5,184円
- 雪の茅舎 純米吟醸 1,620円
- 雪の茅舎 山廃純米 1,296円
- 雪の茅舎 山廃純米生酒 1,890円
- 美酒の設計 純米吟醸 生原酒 1,890円
水で口をすすいで口の中の味をリセットしながら飲みます。しかしこれからの内容はあくまで私の主観に基づくものであり、味覚や感じ方は人により異なることを先に承知頂ければと思います。
①製造番号酒と ⑤美酒の設計の特徴
①製造番号酒 純米大吟醸
- 純米大吟醸です。
- 酒米は山田錦 黒田庄産です。
- 精米歩合35%です。

冷や
高いので期待が高まります。口に含むと!!穏やか!
美酒の設計より軽くて口に含んでいるとほんのりとパイナップルの香りがします。
そして驚いたのが、後味です。余韻で糖を感じます。上品すぎますね。美酒の設計と飲み比べるとその軽快さに驚きます。美酒の設計も軽快ですが製造番号酒はそれよりも軽いです。もう一度改めて口に含みましたが、やはり明らかにパイナップルですね。私の好きな花陽浴のように強烈ではありませんが上品なパイナップルです。上品なパイナップルってなに?という感じもしますが穏やかなパイナップルの香りがずっと続きますね。こんな高い酒に惚れてしまうとまずいですね。
⑤美酒の設計 純米吟醸
- ⑤は純米吟醸です。
- 酒米は山田錦 上から二番目の規格の黒田庄産です。
- 精米歩合55%

冷や
ずっと美味しい味が残り続けます。香りは控え目です。軽くてキレがあるのでどんどん飲めます。穏やかで優しい味ですね。口に含んでいるとじんわりと甘さが染み込んでくるような感じがします。
どちらがいいか?
どちらもいいです。味だけ考えると圧倒的に製造番号酒がいいです。しかし値段を考えると製造番号酒は私は年に一回くらいかなと感じます。しかし飲める時期を考えると美酒の設計もいつでも飲めるわけではありません。値段と飲める時期を合わせて考えると両方とも年に一回飲めるといいですね。「買うならどちらかにして」と言われると悩みますね。両方買うでしょう。
②雪の茅舎純米吟醸
雪の茅舎 純米吟醸
- 酒米 山田錦・秋田酒こまち
- 精米歩合55%
- こちらはこの蔵のスタンダードな酒ですね。
冷や
美味しいです。果物の香りがしますがそんなに強烈ではないです。かすかですね。そして柔らかくて穏やかな味わいです。ベタっと口に残りません。キレがあるのでいくらでも飲めそうです。印象的なのは最初に口に含んだときに鼻から抜ける果実の香りと後味がスッキリしているところです。スタンダードな酒でこんなに美味しいならこれだけ飲んでいても良いのではないかと思いますね。

①製造番号酒と②雪の茅舎純米吟醸と⑤美酒の設計
順番をつけると?
どれも甘みはあるのですが穏やかで優しい味わいですね。そして軽くてキレがあります。 続けて飲んでみると、この3つは甘さのタイプが違うように感じますね。
- 一瞬だけサッと甘みがきてスッと無くなるのが純米吟醸
- じんわり甘みが染み込んでくるのが美酒の設計
- ずっと上品なパイナップルの甘みが続いたあと最後に糖を感じるのが製造番号酒です。
やはり驚くのはその軽さです。軽くてキレるので本当にいくらでも飲めそうです。とても危険です。必ず水は飲みましょう。酒を飲んだ分の3倍は飲みましょう。その軽さですが軽さに順番をつけるとこんな感じです。
- 製造番号
- 美酒の設計
- 雪の茅舎 純米吟醸
③山廃純米と ④山廃純米生
値段は生の方が若干高いですね。しかしこの場合は値段よりも味の比較の方が大事ですね。
生酒と通常の山廃の違いです。

③山廃純米
- 精米歩合65%
- 山田錦・秋田酒こまち
- こちらは普通の山廃ですね。この蔵のスタンダードです。生との違いが楽しみです。

冷や
普通山廃の酒は香りが独特で強烈なんですが、これは穏やかです。明らかに山廃独特の香りはするのですが「これ山廃?」という感じです。他の銘柄の山廃と利き酒をやってもすぐ分かりそうなくらい軽くて優しい味です。
ぬる燗(40度くらい)
ぬる燗だとアルコールの匂いがキツいです。私は苦手ですね。もう少し温度を下げます。
日向燗(ひなたかん)(30度くらい)
この温度が私にはいいみたいです。米の甘みが最高に引き立ちます。アルコールの匂いもさほど感じません。穏やかでなおかつ甘い。これは最高ですね。口に含んだ瞬間から甘いです。冷やで飲むのとは全く別物です。ぬる燗ではこの良さは出なかったですね。むしろ私はダメでした。
しかし燗をすると本当にこんなに変わるのか?というくらい変わります。自分の味覚を疑ってしまいます。もう一度燗して飲みます。シロップとまでは言わないですが、そんな感じの心地いい甘さです。キレるからさらにいいです。最高ですね。
④山廃 純米生
- 精米歩合65%
- 山田錦・秋田酒こまち
- こちらは山廃の生バージョンですね。どう変化するのでしょう?

冷や
生は山廃の独特な香りがほとんどしません。すごく飲みやすいです。舌に糖の甘さが残るのが印象的です。
日向燗(ひなたかん)(30度くらい)
山廃生は山廃と違ってあっさりですね。甘さは感じるのですが山廃ほどではないです。
でも冷やで飲むよりこっちの方が明らかに美味しいですね。
どちらがいいか?
冷やでも燗でも生の方があっさりしています。冷やで飲むなら山廃独特の香りがほとんど無い分「生」の方が好きです。しかし山廃は燗して飲むと花が開くように味が広がって、全く別物になります。山廃は燗しないと損です。そして燗した場合、私は生よりも普通の山廃の方が味がはっきりしている分好きですね。ですから「山廃 日向燗」で決まりです。
山廃以外も燗を試してみる
山廃が美味しく化けたので、他も試してみようということで山廃以外でも燗を試します。無謀でしょうか?もったいないでしょうか?
②雪の茅舎 純米吟醸
香りと味のバランスは冷やの方がいいです。燗すると甘みが強くなりますが、冷やで感じた香りや穏やかさが失われた感じがします。
「あんなにいくらでも飲めそうな感じだったのに随分変わってしまったね」
と感じました。
⑤美酒の設計
これは驚いたことに燗しても美味しいですね。冷やはどうだったっけ?と冷やで飲むとこれも美味しい。どちらでも美味しい!!本当に美酒ですね。味がはっきりする分、燗した方がいい気がします。しかし念のために確認で冷やを飲むと、これはこれで控え目でいい。じゃあ燗はどうだったっけという無限ループです。決して酔っているわけではありません。正気です。
①製造番号酒
甘さがはっきり出て「どうだ。甘いだろ?」と主張してくるのですが、私は冷やで飲むときのあの控え目で上品な甘さの方が好きですね。製造番号酒は冷やです。常温(20度くらい)でもいいかもしれませんね。
常温
思いついたので常温を試します。最初から濃厚な糖の甘みがあります。パイナップルの香りが冷やの時よりも増していいですね。味が広がった感じがします。しかし冷やの慎ましい感じもいいので、これは交互に楽しむのがいいですね。いいのですが、この酒を楽しもうと思うと金が持たないです。


雪の茅舎 ランキング
結論として今回飲んだ5つをランキングしていきます。
最初に申し上げた通り私の主観と好みであることをご承知おきください。
コスパが高い酒
- 1位 山廃の日向燗(30度位)
- 2位 純米吟醸 冷や
季節を選ばずに考えると
- 1位 美酒の設計
値段を考えないなら
- 1位 製造番号酒
総合ランキング
- 1位 製造番号酒(冷や)
- 2位 製造番号酒(常温)
- 3位 山廃(日向燗)
- 4位 美酒の設計(冷や)
- 5位 美酒の設計(日向燗)
- 6位 純米吟醸(冷や)
10点満点で採点するならば
- 製造番号酒(冷や)10点
- 製造番号酒(常温)10点
- 山廃(日向燗)10点
- 美酒の設計(冷や)8点
- 美酒の設計(日向燗)7.5点
- 純米吟醸(冷や)6.5点
雪の茅舎と他の日本酒との味の違いははっきりしている
最後になりますが、しつこく「穏やか」「上品」「軽い」「キレがある」などと書きました。この酒には「優しい」なんていう言葉も似合います。それはとても飲みやすい日本酒であるという意味でもあります。高橋 杜氏はできるだけ人の手を加えずに自然の力で酒を造っています。また、造った酒もできるだけ人の手を加えない方法で瓶詰めして我々の手元に届けます。
それが他の蔵の酒と比べても違いがよくわからないなら、さほど注目はされないでしょう。しかし雪の茅舎は誰が飲んでも明らかに他の日本酒とは違う味がします。飲み慣れない人が利き酒してもわかるはずです。ぜひ一度飲んでみてはいかがでしょうか。とても飲みやすいのでどんどん飲み進んでしまいます。必ず水も一緒に飲みましょう。
- 雪の茅舎は非常に飲みやすい
- 人の手をできるだけ加えずに造られている
- 他の銘柄とは明らかに違いがわかる
- 飲みやすいので飲みすぎに注意!!
- 悪酔いしないためにも必ず水は飲みましょう
雪の茅舎 情報
そもそも雪の茅舎って何?という方はこちらをご覧頂くとわかりやすいかと思います。
https://tipika-blog.com/say-yukinobousha-bishunosekkei/
どこで買ったらいいか分からないという方はこちらに特約店(販売店)をまとめていますので参考になさってください。十四代の特約店も数店舗あります。

番外編 知っていたら通っぽい燗の呼び方
5℃ | 雪冷え | 甘みや旨味は感じ難い。口に含んで温度を上げると変化が楽しめます。 |
---|---|---|
10℃ | 花冷え | 香りが高く、すっきりした味わいを感じるベストな温度。私が一番好きな温度です。 |
15℃ | 涼冷え | 私は花冷えか常温が手軽に温度調整できるのでこの温度で飲んだことがありません。 |
20℃ | 常温 | 甘み旨味がよく感じられる反面、低い温度で感じなかった雑味を感じる酒もあります。 |
30℃ | 日向燗(ひなたかん) | 香りがたってきます。米の甘み旨みが増します。雪の茅舎はここが一番良かったです。 |
35℃ | 人肌燗(ひとはだかん) | 米の香りや米の味がします。私は田酒をこの辺の温度で飲むのが好きです。 |
40℃ | ぬる燗 | 香りがより感じられるのですが、私にはアルコールがきつく感じられます。 |
45℃ | 上燗(じょうかん) | ここより上の温度は温度調整を間違えた時だけです。 |
50℃ | 熱燗(あつかん) | むせます。 |
55℃ | 飛びきり燗(とびきりかん) | 熱過ぎでしょう。でも合わない酒にはこれくらいの荒療治が必要です。 |