而今・十四代が定価で買える店
日本酒雑記

これは不味いと思う日本酒が美味くなる飲み方

あなたは今初めての日本酒を飲もうとしています。
しかし期待半分諦め半分です。
初めての飲んだ事の無い酒なのになぜ諦めが半分もあるかというと
それは望んで買った酒では無いからです。

「望んで無い酒を買うことなんかあるわけないじゃん」

「どういう意味?」

本当に飲みたい酒を買うためには
抱き合わせで違う酒も買わないといけません。
今はほとんどの人気酒がそうなっています。

不味い酒飲んでますか?
もしかして台所に持って行ってシンクに流してませんか?
それとも料理酒になってますか?

酒は身体に負担が掛かります。
できれば美味しい酒、自分の好みに合う酒だけを飲みたいものです。
無理して飲んで身体に負担を掛けていては意味がありません。
しかし抱き合わせの魔の手から逃れることは困難です。
今は人気のある酒を飲もうとすると、

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なんていう悪魔のささやきに耳を傾けなければなりません。
美味しい酒を飲むためには欲しくない酒も飲まなければならないという苦行が課せられます。
しかし私たちはその抱きあわされる酒と向かい合わなければなりません。
それは自分の好みでは無い酒、望んだ酒ではないかもしれませんが、丹精込められて造られた酒だからです。

不味い酒なんてあるわけがない!!なんてことはない

十四代を定価で買いました。あるいは而今を定価で買いました。
しかし違う酒もセットで買わなければならないということがよくあります。
というか、ほぼどの特約店でも違う酒を一緒に買わざるをえません。

十四代がとても飲みたい。そして特約店ですから十四代はプレミアがついていない定価です。しかし他の酒を例えば3万円分買わなければなりません。10万円の場合もありますが3万円にしましょう。

迷います。非常に迷います。
3万円は大金です。
3万円あれば大抵のやりたいことがやれるちょうどいい金額です。
十四代が欲しいのになんで3万円分も要らない酒を買わなきゃならないんだ?

しかしこんなチャンスは滅多にありません。
迷いに迷ったあげく買いました。

「プレミア付で買うくらいなら抱き合わせのほうがいいや。」

と自分に言い聞かせながら買うのです。要らない酒とともに。

しかし実際はプレミア付の場合のほうが安くつく場合もあります。
プレミア付なら十四代一本で3万円以内で収まることもあります。高いと思うかもしれません。でも要らない酒はついてきません。

この日本酒はは不味いと思いたくないだけです。

特約店で念願の十四代を抱き合わせで買いました。最高です。
しかし一緒についてきた抱き合わせの酒は初めてみる銘柄です。
それはそうです。売れる酒は普通に売ります。
多くの場合、売れない酒が抱き合わされます。

あなたの胸に不安がよぎります。

「これはもしかしたら自分の口にあわないんじゃないだろうか?」
「しかも一升あるんだけどこれ飲み切るのに何日掛かるんだ?」

あなたは酒の飲み過ぎで腹が出てきています。
日曜日の昼下がりに「ジョギングに行かなければ」と思うくらい切羽詰まっています。
無駄な酒は飲みたくありません。

初日

ドキドキしながら栓を抜きます。
「うわっ!!!」

あなたは勘違いだと思います。
「これはまだ栓を抜いたばかりだからだ。初日は硬いからな」
なんて通ぶって自分に言い聞かせながら冷蔵庫にしまいます。

2日目

あなたは思います。

「まだ2日目だし。ちょっと気が早すぎたかな?」

5日目

満を持して口に含みます。しかし半ば諦めています。
なぜならあなたは数々の抱き合わせに裏切られてきたからです。

「やっぱりそうか・・・・・」

ショックです。なぜなら今回は3万円も使っているからです。
十四代は申し分なく美味しいです。
それだけが救いです。
あなたはこの酒を不味いと思いたくありません。
なぜなら得体の知れない抱き合わせ酒がまだあと4本あなたを待ち受けているからです。

そして抱き合わせを選択したことが誤りだったと認めたくないのです。
3万円も使っていることが、より一層あなたを頑固にしています。
認めましょう。その酒は不味いのです。
そして考えましょう。
どうすればベストを尽くせるのかを。

美味しい日本酒を不味くしているのはあなただった!

「他人を変えることは難しい。他人を変えるんじゃなくて自分が変わるんDA!」
なんて自己啓発的なセリフを聞いた事がないでしょうか?
特に部下を持つようになった上司の方々いかがでしょうか?

まず自分に落ち度がないか検証しましょう。
仕事ではありません。酒の管理です。
日本酒の管理というのは難しいのです。

温度 保管場所は5℃以下ですか?
日光の当たらない場所に保管していますか?
場所 冷蔵庫に入ってますか?
ネット通販の場合 クール便で配達を依頼しましたか?

日本酒はまともな店なら冷蔵しています。
種類にもよりますが5℃以下の保管が望ましいとされています。

火入れの商品に関してはそこまで気にすることはないかもしれませんが
「要冷蔵」と書いているものは本当に「要冷蔵」です。
「冷蔵したほうがいいですよ」では無く
「冷蔵しないと味が変わりますよ。不味い酒になるけどいいんですか?」の要冷蔵です。

「俺は賞味期限とか気にしないタイプなんだよ。あれは一応の目安だからな」

なんて思うタイプの方は要注意です。

「注意が必要なのか?俺」では無く
「俺は注意が必要なヤツ」です。

自宅に持ち帰ってその辺に置いてませんか?
「いや冷蔵庫に入れようとすると嫁が・・・・」
嫁さんに怒られながら美味い酒を飲むか?嫁さんに怒られないけど不味い酒をのむか?
なんて二択にはならないとは思いますがまず交渉しましょう。

必ず冷蔵の酒はこちら


注意書きをご覧ください。
「常時要冷蔵保管」と黒地に白抜きの文字で分かりやすく書いてあります。
注意散漫な私でも気が付きます。
呪文のようですがいつも冷蔵するように強く促しています。

さらにその横に「開封前後に関わらず冷蔵庫で保管して下さい」とあります。
念には念を入れていますね。決してしつこいとは思いません。
普通はなかなかここまで見ないですから。
美味しく飲んで欲しいという蔵元の想いがあふれています。
しかし美味しく飲み切った後は廃棄しましょう。

この酒の名前はもしかして「常時冷蔵保管」でしょうか?
違います。ラベルはこの包みの中に隠れています。
直射日光からも守っているのですね。

この蔵元の気配りに私は母親を思い出します。
「不味い酒を・・・」などと言うものなら
その後に続くのは「だから言ったでしょう!!!」ですね。
私は大人なので美味しく飲むために常時冷蔵庫に保管しています。

必ずしも冷蔵じゃなくてよい酒はこちら

こちらは火入れの酒です。両方とも燗することで美味しさが引き立ちます。
「開封後はお早目にお召し上がりください」との記載しかありません。
優しいですね。懐の広さを感じます。上司というのはこうあって欲しいものですね。

酒の管理は完璧だった。しかし・・・

いくら丹精込めて造られたとはいえ、合わないと思ったら諦めることが大事です。
なぜならばアルコールは身体に負担を掛けます。
無理をして飲むようなものではありません。

そこで!!!

日本酒の買い取りに・・・なんてうまくはいきません。

日本酒は保管が難しいため買取をお願いしても買ってもらえないことがあります。
「日本酒高値で買い取ります!!」なんて宣言している店でもです。
私は試しに十四代がいくらで買い取って貰えるか出張査定を依頼をしたことがあります。
電話で依頼した時に、念のため日本酒の買い取りも可能なのか確認したうえで
家に来てもらいましたが駄目でした。
十四代が駄目なら何ならいいんでしょうか?
ということで買い取りは諦めましょう。
ちなみにその時の十四代は毎年飲んでいる「本丸」でした。

では台所に流しますか?

 

一番簡単ですが恐らく罪悪感しかないでしょう。未経験です。

料理に使いますか?

 

料理はしますが一升使うのにどれくらいかかるでしょう。
まして奥さんがいるとなると今後の日本酒ライフに差し障りがありそうです。

まだ諦めてはいけません。
諦めたらそこで終わりですよ。

温度を変えてみましょう

「酒の管理はきっちりしてんるんだよ。それでも不味いんだよ馬鹿!!何とかしろよ!!」
という方は飲むときの温度を変えましょう。
多くの酒は要冷蔵です。
しかしそうでは無い酒もあります。

まず常温で飲んでみましょう。

常温で飲むと米の甘みや柔らかい味わいになることがあります。
そういう酒は飲む温度を変えれば劇的に変わることもあります。
本来美味しい酒であればですよ。
私は田酒は冷やより人肌燗が好きです。

「常温でもあんまりピンとこないね」という方

燗してみましょう。
燗にも温度によって様々な呼び方があります。
知っていると通っぽいので暗記しましょう。
横の感想は私のものです。あなたも是非試してみて下さい。
ただ居酒屋でイキって「花冷えで」といっても通じないので
店の雰囲気で通じるか通じないか察しましょう。

5℃ 雪冷え 甘みや旨味は感じ難い。口に含んで温度を上げると変化が楽しめます。
10℃ 花冷え 香りが高く、すっきりした味わいを感じるベストな温度。私が一番好きな温度です。
15℃ 涼冷え 私は花冷えか常温が手軽に温度調整できるのでこの温度で飲んだことがありません。
20℃ 常温 甘み旨味がよく感じられる反面、低い温度で感じなかった雑味を感じる酒もあります。
30℃ 日向燗(ひなたかん) 香りがたってきます。米の甘み旨みが増します。
35℃ 人肌燗(ひとはだかん) 米の香りや米の味がします。私は田酒をこの辺の温度で飲むのが好きです。
40℃ ぬる燗 香りがより感じられるのですが、私にはアルコールがきつく感じられます。
45℃ 上燗(じょうかん) ここより上の温度は温度調整を間違えた時だけです。
50℃ 熱燗(あつかん) むせます。
55℃ 飛びきり燗(とびきりかん) 熱過ぎでしょう。でも合わない酒にはこれくらいの荒療治が必要です。

 

味わいが変わり激ウマに変わる・・・こともあります

日本酒の保管について正しい温度管理をして飲むのは大前提です。
それでも合わない場合は飲む時の温度を変えると劇的に味が変わることもあります。

肝心な燗のつけ方ですが道具を紹介しておきます。
定番の高いものと安いものです。
温度が計れて手入れがしやすければそれでいいと思います。
もちろん良い道具をそろえて雰囲気を楽しむという手もあります。

「ちろりと日本酒計」は必要ですが、後はヤカンか鍋で安く揃えて、
燗するのが自分の好みに合うようだったら買いそろえるのもいいでしょう。

 卓上酒燗器 ミニかんすけ

一生使えますね。
毎日美味しい酒が飲めます。
燗が好きな方なら損はしません。
いくら抱き合わせの酒を買っても安心です。
冷めにくく、お湯をいれるだけなので簡単です。

ただし温度調節は自分で行うため、慣れが必要です。
慣れれば様々な温度調節が自分で行えるので楽しみ方が広がります。

TWINBIRD 酒燗器 ブラック TW-D418B

こちらは手頃な価格です。
温度は調節してくれるので失敗がありません。
操作は簡単ですが温度調節の自由度が低いですね。

燗に必要な道具 この2つだけは必須です!

日本酒計

メーターが上を向いているので温度が上昇していく様子がはっきりわかります。
失敗しにくいですね。お店で使っているのもこのタイプが多いです。
縦形の温度計タイプの方が安いのですが、見えやすさやメモリに燗の種類が書いてあるので暗記する必要が無いことを考えるとこちらがお得です。

ちろり (アルミ酒タンポ 2号)

こちらも必要ですね。アルミ製なので早く温まります。
やかんでもお鍋でもお湯を張ります。
ちろりに直接お酒を注いで日本酒計を刺してお湯につけて温度を計り、
好みの温度になったらお猪口に移しましょう。
もちろん日本酒計は毎回拭いて清潔に保ちます。
「日本酒でアルコール消毒してるからいいんだよ!!」
とかダメです。

 

温度を変えても不味い酒は不味い

「どうしてくれるんだコノヤロー!!」

どうにもなりません。
しかし人は失敗から学びます。
学びますが人は忘れます。

そこでラベルを撮影しましょう。
何の銘柄だったかどこの蔵元だったかどんな酒米だったか
誰が押し付けてきたのかスマホで撮影です。
不味い酒リストにぶちこんで今後購入時に気を付けましょう。
私は幸いまだ台所に流すような不味い酒には出会った事はありません。

私の「不味い酒を美味しく飲めた体験」

以前山本の「ど辛」を飲んだ時は「なんだこりゃ」という衝撃的な味で、
一口飲んだ瞬間これを一升飲むのは地獄だと感じました。
クックパッドで日本酒を使った美味しい料理のレシピを調べまくりましたが、
日にちを開けて常温で飲むと大変美味しい酒でして
幸い料理に使うことはありませんでした。

また先日抱き合わせで購入した〇〇〇という新潟のお酒もひと口飲んで
「まるでダシの入ってないラーメンのような味」に絶望しかけましたが
これも常温で飲むと全く違う顔を見せてくれて大変美味しく頂きました。

私の経験からすると、不味いお酒というのは温度管理をしていなかったか
本来美味しく飲める温度で飲んでないだけではないのかなと思っています。

諦める前に飲むときの温度を変えて飲んでみて下さい。
私は抱き合わせで購入した初めての銘柄がまだ一升で10本弱あります。
どんな味の酒なのか非常に楽しみですね。