アップルシナモンケーキの味がするビールが限定で発売されるという記事を、とてもおしゃれで「こんなデザインができたらいいな」と思うビールサイトで目にして衝撃を受けました。
「そんな大風呂敷を広げていいの?本当にアップルシナモンケーキの味なの?」
私はアップルパイは好きですし、シナモンがまぶされたパンやドーナツも好きです。両方が入っているケーキですから美味しいに決まっています。しかし「その味をビールで」となると少し違うような気もするのですが、いまいち信じられないので公式HPにアクセスして商品説明を読むと魅力的な言葉がずらずらと並んでいます。とにかくこれはアップルシナモンケーキは関係無く飲みたくなるような説明です。いてもたってもいられずとりあえず購入してみました。


Contents
サンクトガーレン アップルシナモンエール
最低出荷単位2本から本数により値段が変わります。
価格
本数 | 合計金額(税抜き) | 1本あたりの値段(税抜き) |
2本 | 1,770円 | 885円 |
3本 | 2,230円 | 743円 |
4本 | 2,690円 | 672.5円 |
6本 | 3,610円 | 601.6円 |
8本 | 4,530円 | 566.25円 |
12本 | 6,370円 | 530.83円 |
24本 | 11,890円 | 495.4円 |
スペック
容量 | 330ml |
原材料 | 麦芽・ホップ |
副原料 | りんご(長野県伊那市産)メイプルシュガー・シナモン |
アルコール度 | 5% |
賞味期限 | 90日(要冷蔵) |
使用麦芽 | ペールエールモルト・ミュニック・クリスタル20°L・60°L・チョコレートモルト |
使用ホップ | チノック・ウィラメット |
IBU | 18 |
初期比重 | 1.052 |
SRM | 14.5 |
ビール用語解説
IBU・SRMなんて単語が出てきています。一体なんでしょう?
IBU
苦味を表す単位です。International(国際) Bitterness(苦味) Units(単位)の略称です。苦味の元になるのはホップです。ホップに含まれる苦味成分を数値化したもので、数値が高いほど苦味が強くなります。アップルシナモンエールのIBU18というのはさほど苦味が強いわけではないですね。
参考資料
スーパードライ | 16 |
一番搾り | 21 |
黒ラベル | 21 |
モルツ | 21 |
エビス | 25 |
SRM
Standard(標準) Reference(参照) Method(方法)の略称で、ビールの色の色度数を示します。数値が低いほど色が薄くなります。アメリカとヨーロッパで色度数の基準は異なります。SRMはアメリカの基準になります。

モルト(麦芽)の種類
ビールは発酵して造られる飲み物です。発酵するには酵母と糖とアミノ酸が必要になります。大麦(二条大麦)はデンプンとタンパク質を持っています。デンプンとタンパク質の状態では酵母を使っても発酵しません。デンプンとタンパク質を糖とアミノ酸に変える必要があります。どうやって変えるかというと、大麦が発芽する際に生み出す酵素がデンプンとタンパク質を糖とアミノ酸に分解してくれます。
糖とアミノ酸の状態になると、酵母が発酵できる状態になります。糖はアルコールと炭酸ガスになり、アミノ酸は酵母の増殖と発酵に必要な栄養素になります。
デンプンやタンパク質が芽の成長に使われてしまうので乾燥させて抑制します。
麦芽を乾燥させることを「焙燥」といい、焙燥の仕方によってビールの色や味わいに個性が出てきます。アップルシナモンエールには5種類使用されています。
エール麦芽
イギリス産の蛋白質含有量の少ない大麦を原料に使用し、淡色麦芽よりやや色が濃く、エールビールに最も適した麦芽です。この麦芽を使用することで、ボディ感のあるビールを造ることができます。
ミュンヘン麦芽
ミュニックとはMunichで、ミュンヘン麦芽です。蛋白質含有量の多い大麦を原料に使用した麦芽で、濃色ラガー麦芽とも言われています。ビールのボディ感、安定感を高めるために使われており、通常は醸造用麦芽等と一緒に使用します。
クリスタル20°L・60°L
※°L(ロビボンド)SRMのような色の単位です。
ガラス状の構造を持ち、甘く、カラメル香のする麦芽です。カラメル麦芽を使用する事により、ビールに豊かな香りとコクを与え、金色あるいは赤みを持った色を付けることが出来ます。
・カラメル麦芽(130~170°EBC )代表的なカラメル麦芽です。
・カラメル麦芽(55~85°EBC ) 色度の低いカラメル麦芽で、淡色ビール用。
チョコレートモルト
コーヒー、カラメル、焦げ香を持つ非常に色度と香りの高い麦芽で、甘いスタウトや濃色ビールに用いられます。色調は、カラメルやアンバー麦芽に比べて黄色が強くなります。
アップルシナモンケーキの味や香りが感じられるのか?
以前「めろん333」という日本酒を飲んだことがあります。誰がどう考えても「メロン味がする日本酒」という期待感を抱かせてくれる銘柄です。もちろんメロン味のする日本酒というのは他に存在します。しかし「めろん333」というとハードルが上がりすぎているように思います。期待と不安を抱きながら飲みましたがやはりメロン感はありませんでした。今回のアップルシナモンエールもそれと似た雰囲気を感じます。
アップルシナモンエールの感想 3本中1本目
開栓すると泡が噴き出します。まるで酵母が生きているかのような活きの良さです。初めて開けた時はそんなことになるとは知らずに、半分くらいテーブルに噴きこぼしてしまったので、台所のシンク(流し)で開けることをオススメします。
初めの一本は冷やした状態で飲みました。とにかく口に泡が広がって、「今飲んでるから落ちつけよお前」という状態です。ビールという感じはしません。少し時間を開けてそろそろ落ち着いたかなと思ってグラスに注ぐと、まだ泡立ちます。落ち着いた頃を見計らって、また飲みます。口の中があわあわします。一本目はそんな感じでひたすら泡と格闘していました。印象としては、小学生の男の子を3人育てている母親の気持ちで対応しないといけないビールですね。

アップルシナモンエールの感想 3本中2本目
2本目は常温で飲みます。注意していましたが、やはり泡が凄くて半分吹きこぼしてしまいました。酵母が生きてるだろうと思わせるほど勢いがあります。常温でも特に何も変わりません。温度が上がると味か香りを感じやすくなるかなと思いましたが、そうでもないですね。アップル感もシナモン感も今のところ感じられません。あまりに泡が凄いので記念に写真を撮りました。



開栓直後で瓶の中はほとんど泡です。
アップルシナモンエールの感想 3本中3本目
アップルシナモンを感じるというよりも、りんごやシナモンを用いてビールを造るとこういうビールに仕上がるのだなという風に発想を変えました。その上で飲んでみると特徴的な味というのは感じられなかったのですが、苦味がさほど無く、かといってりんごを連想させるような香りや味があるかというとそういうこともありませんが、泡がとにかく凄いという印象が残るビールでした。
このビールを知ったサイトをもう一度読んでみると最後にライターの方のコメントがありました。「想像しただけで美味しそう!」とコメントされていました。「飲んでないんかい!!」と今更ながらに思った次第です。デザイン一つで飲んでなくても興味をもたせてしまえるということは、凄いことだなと学びました。文字の羅列よりも綺麗な写真としゃれたデザインですね。
サンクトガーレンはエールのみを製造する地ビールメーカーです。他にも面白いビールを数多く造っているので他のビールも飲んでみようかと思います。