而今・十四代が定価で買える店
ビール

KIRIN ビール BROOKLYN SORACHI ACE ソラチエース

KIRIN DRINXのビール、「BROOKLYN SORACHI ACE ソラチエース」を購入しました。なぜこのビールを買ったかというと、

「爽やかでトロピカルな香味が特長で、柑橘・レモングラス・ハーブを想わせる明るい余韻が楽しめる」

という宣伝文句に心奪われたからです。

トロピカルなうえに柑橘・レモングラス・ハーブを想わせる明るい余韻が楽しめるわけです。ぜひ飲んでみたいと思い、今回は送料無料キャンペーン中だったこともあって案内が届いてから即購入しました。

BROOKLYN SORACHI ACE ソラチエース

ビアスタイル セゾン
アルコール度数 7%
容量 355ml
原材料 麦芽・ホップ
価格 6本セット 2,900円(税込)

セゾンとは何でしょう?日本地ビール協会の資料を当たるしかないと思い、ビアスタイルガイドラインを読んでみました。

56.ベルジャンおよびフレンチスタイル・セゾン
このカテゴリーのビールは、ゴールドから濃いアンバーまでの色合いを持つ。風味の特徴については、地 方や醸造所ごとに昔から大きな違いが見られるため、一概に規定することはできない。しかし、一般的にはボ ディがライトからミディアムの範囲。モルト・アロマのレベルも低く、ローないしミディアム・ロー。フルー ティーなエステル・アロマが支配的で、口中では、ホップ、ハーブ、スパイス、ときにはクローヴ香、スモー ク香などが渾然一体となってバランスよく感じられるものも多い。ブレタノマイセス系の野生酵母がもたらす キャラクターも低レベルであればあってもよい。モルトのフレーバーも低いが、皆無ではなく全体のバランス をつくるうえで効果的な役割を果たしていなければならない。ホップの苦味は穏やかであるが、はっきりと感 じとれるレベルをキープする。ハーブやスパイスについては、アロマ、フレーバーともにはっきりしていても していなくともよい。酸味は他のフレーバーと調和している限り、許される。ほのかに土臭いアロマもしくは カビ臭いアロマも、ビールのユニークな風味をつくるうえで好ましい役割を果たしているなら、肯定的に評価 される。ダイアセチルは、不可。低温白濁、わずかな酵母の濁りは問題ない。ボトルコンディションしたもの は、酵母から分泌されたフレーバーと豊かできめ細かな泡立ちが見られる。
このカテゴリーにエントリーするビールは、サービングの際に透明な上澄みだけをグラスに注ぐべきか、 ボトルを振って酵母も一緒に注ぐべきかを、ボトルに明示することが求められる。

日本地ビール協会 ビアスタイルガイドラインより

相変わらず分かりやすくまとめられていますね。読んでいると今まさにセゾンビールを飲んでいるような感覚になります。味を確認するために飲みながら読んでいるので当然といえば当然かもしれません。

「ホップの苦味は穏やかであるが、はっきりと感じとれるレベルをキープする。ハーブやスパイスについては、アロマ、フレーバーともにはっきりしていてもしていなくともよい。」

「sorachi ace」の味わいはこの部分がしっくりきますね。そして「ハーブやスパイスについてはアロマ、フレーバーははっきしていてもいなくてもよい」この寛容さがまたいいですね。こうあっさりと「たいしたことじゃねえんだよ」と断言されるとそれならしょうがないかと思わざるを得ません。

読み進めていくと、酸味は許され、土臭いアロマやカビ臭いアロマは評価され、酵母の濁りも問題無いと器の大きさを見せているのにも関わらず、ダイアセチルお前だけはダメだと理由もなく一言でバッサリ切り捨てられています。気になりますね。何があったのでしょう。気になりますがキリが無いので私はダイアセチルについては今回は不問にしたいと思います。

結局セゾンとは何なのか

セゾンというのは英語のseasonのフランス語読みでセゾンになるわけです。「michael」のマイケル・ミッシェル・ミハエルのようなものですね。

ベルギーが発祥の地なのになぜフランス語読みなのかというと、ベルギーの公用語はフランス語オランダ語ドイツ語です。セゾンビールが盛んに作られていた南部のワロン地方はフランス語が公用語の地域です。赤い線で囲まれている場所がワロン地方です。フランスに隣接していますね。

セゾンというのは季節ものという意味です。では季節もののビールというのはどういうことでしょう?こういう時は日本ビアジャーナリスト協会の出番です。

セゾンビールとは、かつて農家が夏の農作業中に喉の渇きを癒すために、農閑期である冬の間に醸造したビールのこと。
(同じく農閑期に蔵元で酒を造る日本酒の蔵人を思い出します)
農閑期にだけ造られるのでセゾンビール(季節ビール)と呼ばれ、主にワロン地方(エノー州、ナミュール州、リュクサンブール州の一部)で造られています。
通常、色々な醸造所で造られている、イースターやクリスマスなどの季節ビールとは別の意味合いになります。
農家では夏の仕事中喉が渇きますが、生水には病原菌が含まれている可能性があり、飲むことができませんでした。
そこで農閑期にはどの農家でもビールを仕込んでいました。
かなりアルコール度数の低いものもあり、家庭の食卓にも上がったようです。
仕事中に水代わりに飲むためアルコール度数が高すぎてはいけないのですが、冬に仕込んで夏に飲むまで貯蔵しておく必要があったため、高い温度で糖化して発酵しない糖分の抽出量を多くしボディを強くしたり、ドライ・ホッピングを行ったり、スパイスを加えたりと、さまざまな工夫がなされました。
日本ビアジャーナリスト協会 セゾンビールより

Q.生水が飲めないからビール???
A.製造過程で煮沸するためです。

Q.アルコール度数が低い???
A.作業する時に飲むためです。

醸造技術が発達していない時代に、冬から夏までの間、保存状態が良い状態で保てて、作業中に飲めるビールを造るということで特殊な製法になったということですね。激しい運動前後、運動中のアルコールの摂取は危険なので驚きました。当時は何事も無かったのでしょうか?

運動前後、運動中のアルコール摂取は危険です

昔こういったビールがあったからといって、仕事終わりに家で晩酌してからのジムでの運動は危険です。ほとんどのスポーツクラブが酒気帯びでの利用を禁止しています。またBBQで飲酒してからの海や川への入水もやめるべきしょう。毎年何人もの方が亡くなっています。

BROOKLYN SORACHI ACE ソラチエースの味わいは?

「爽やかでトロピカルな香味が特長で、柑橘・レモングラス・ハーブを想わせる明るい余韻」を楽しめたかというと、最初口に含んだ時の香りはまさにそのような感覚が味わえます。しかしそれが余韻として続くかというとそうでは無く、重い苦味の余韻の方が強く感じられます。常温で飲むと違うのでしょうか?また試してみたいと思います。

また買うかというと・・・・

かなり期待して飲んだのですが、また買おうと思うほどでもありませんでした。苦味よりもトロピカルな感じを求めていたので、そこにすれ違いがあったように感じます。私はヒューガルデンが好きで、ああいう系統のビールを想像していたのですが、全く違っていました。しかしビールの歴史を知れたという意味で意義深いビールでした。しっかりとした苦味の余韻を楽しみたいという方にはオススメです。