農口尚彦さんは何で神様なの?
農口尚彦さんは昨年新しい酒蔵「農口尚彦研究所」を開所し
日本酒業界では話題を呼びました。
「日本酒の神様が帰ってきた!」
「どんな酒を醸すのだろう?」
ということで大きな期待を持って迎えられました。
ではなぜ神様と呼ばれているのか略歴から見ていきましょう。
略歴 ※年齢も併記しましたが誕生日を境に1歳前後します。
1932年 | 12月生誕 | 石川県現・能登町に祖父と父の二代続く杜氏の家に生まれる。 |
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1961年 | 29歳 | 菊姫合資会社 杜氏 着任。 |
1990年 | 58歳 | 菊姫大吟醸がJAL初のファーストクラス搭載日本酒として採用される。 |
1997年 | 65歳 | 同社を定年退職。 |
1998年 | 66歳 | 鹿野酒造合資会社 杜氏 着任 |
2006年 | 73歳 | 「現代の名工」認定、「厚生労働大臣表彰」受賞。 |
2008年 | 75歳 | 黄綬褒章 受章。 |
2010年 | 77歳 | プロフェッショナル 仕事の流儀に出演。 |
2012年 | 79歳 | 鹿野酒造合資会社を退職。 |
2013年 | 80歳 | 農口酒造の杜氏となる。 |
2014年 | 81歳 | 和風総本家(テレビ東京)に出演 |
2017年 | 83歳 | 「農口尚彦研究所」にて若手杜氏育成のために杜氏として復活する。 |
その功績を抜粋しますと
国から認められたのが、「73歳現代の名工認定・75歳黄綬褒章受章」
世間(日本酒業界以外)から認知されたのが
「77歳プロフェッショナルの流儀・81歳和風総本家・84歳27時間テレビ出演」
ということになりそうです。
そして2018年9月現在85歳にも関わらず精力的に酒造りを行っている農口さん。
驚異的です。
またこういった功績もあります。
・日本酒が売れていた時代は、量産をするため早く酒を造ることができる
「速醸酛(そくじょうもと)づくり」が主流でした。
しかし農口さんは米の持つ本来の旨味を日本酒に求めて
その当時廃れつつあった、手間がかかる昔ながらの「山廃づくり」を行ったそうです。
日本酒がどんどん売れるから、早く造ってどんどん量産したほうが
会社としては利益も上がるはずなのですが、
農口さんは完全に時代の流れに逆行していました。
しかし、そのおかげでその後に「山廃ブーム」が来ることになります。
また後の「吟醸ブーム」を作ったのも農口さんです。
日本酒業界に大きな影響を与えてきたインフルエンサーと言えますね。
・農口さんは能登杜氏四天王と呼ばれるうちの一人です。
四天王って凄いですね。
詳しい事はこちらを参照してみて下さい。
伝説を作った男たち「能登杜氏四天王」を識ると日本酒がもっと旨くなる!!
他の3名の杜氏の方々でさえも農口さんのもとに「山廃造り」「吟醸造り」を
教えてもらいにきていたのです。
しかも農口さんは
下戸
だそうです。
農口さんは酒を一滴も飲めないのです。
酒が一滴も飲めない人が酒を造ってその世界の第一人者となるというのは
まさに 神様 ですね。
農口さんの造っている日本酒はどこで買える?
現在農口尚彦研究所で造っている日本酒は多種類あります。
たくさんあると、どれが良いのだろう?と迷ってしまいます。
一番良いのは農口さんが時代を作った「山廃」「吟醸」が良いでしょう。
できれば「無濾過」「原酒」であれば最高です。
無濾過原酒とは?
濾過
酒袋から搾られた日本酒は、その後「濾過(ろか)」という工程に入ります。
細かなお米のカスの除去であったり、脱色、香味の調整が目的です。
フィルターや活性炭を通します。
原酒
一般的な日本酒は、造ったお酒に水を加えてアルコール度数を15度くらいに下げています。しかし水を加えないで酒蔵で造ったばっかりに近い状態で飲めるのが原酒です。
つまり「無濾過原酒」は濾過していない、水を加えていない、
限りなく農口さんが蔵元で造った造りたてに近い状態のお酒ということになります。
ぜひ一度味わってみてはいかがでしょうか?
時代を造った杜氏が造る日本酒はあなたの口に合うかどうか。
こうした業界に功績を残し、歴史を作って来た人が造る日本酒が飲めることは
貴重な経験になるはずです。