而今・十四代が定価で買える店
十四代

十四代と同じくらい美味しいと評価された酒

私は初めて訪れた酒屋では店の人におすすめの酒を聞くことが多いです。店がどんな酒を評価してるのか知りたいですし、自分の店で力を入れている商品をどのように説明をするのか聞きたいからです。

「うちに置いてある酒はどれも美味しいんだよ」なんて店もあります。そりゃそうだろうけど・・・味の違いを知りたいのです。説明が面倒なら有料試飲コーナーを作ってくれれば全然構わないのですが、面倒な手続きがあるのでしょうね。

また、タイミングを見計らって話しかけているのですが、面倒臭そうにされることもあります。

一方で好みを聞いてくれて「それならこれとかこれがおすすめですよ」なんて似たような味の系統の銘柄をいくつか挙げてくれて違いを丁寧に説明してくれる酒屋もあります。そういう酒屋では勧められたものをそのまま買って、通うようになることもあります。

今回紹介するのはお店の方に「十四代と同じくらい美味しいよ」と評価された酒ではありません。日本酒好きの方が「十四代と同じくらい美味しいよ」と評価した酒になります。なぜ店の方に勧められた酒じゃないかという理由をこれからご説明致します。



十四代と同じくらい美味しい酒って店の人が言った場合

「十四代によく間違えられる酒」「十四代と同じくらい美味しい酒」と言うセリフを店員さんから何度か聞いたことがあります。私にどんな酒か分かりやすく伝わるように褒めているのでしょうけれども、その酒は買いませんでした。それらはすでに飲んだことがあって、全くそんな印象を受けなかったからです。

その銘柄は花◯と仙◯?◯仙?でした。仙はどっちの銘柄だったかうろ覚えですが、花◯は高木酒造の技術指導が入ってると何軒かで聞いたので覚えています。そしてはじめに聞いた時にすかさず購入して飲んで、「ん???? そう????」と思ったことをよく覚えています。

十四代の名前を出せば、客の立場からするととりあえずどんな酒なのか試したくなりますよね。そう考えると売る側としてはなかなかのパワーワードですが、私からするとそんな経験があるので「本当かな?」と疑ってしまいます。そういう理由で、今回ご紹介する酒は店員さんに勧められた酒ではありません。

十四代と同じくらい美味しい酒って酒好きの人が言った場合

日本酒を販売する立場の人ではなく、飲む立場の人が「十四代と同じくらい美味しい」と評価をしたなら少し事情が違うような気もします。飲み手は単純に美味しい酒を求めているだけだからです。そこで下の写真をご覧下さい。

1位が赤武・十四代 23票で同数です。これは何の順位かと言うと、とある試飲会の企画の結果です。その企画の内容とは、日本酒を先入観抜きで飲んでみて、どの酒が美味しかったかを味だけで評価しようというものです。私が勝手に書いて自宅の扉に貼り付けたわけではありません。

企画内容

  • ブラインド(銘柄がわからない状態にして)で40銘柄の日本酒を試飲していき、その中でどの酒が一番美味しかったかを投票する。
  • 参加者は200名程度。
  • 十四代(本丸)も含まれている。

ちょうどこの試飲会が行われた時は、様々な酒屋で赤武の取り扱いが増え始めた頃でした。私はあまりにも推されると疑わしく感じるというひねくれ者ですので、店に行くたびに、また宣伝のメールが入るたびに、「味はそうでもないのにゴリ押しするキャンペーンが始まったのか」と感じていました。

しかしこの試飲会の結果は日本酒を飲むことが好きな人たちが集まってブラインドで飲んで評価された結果です。文句のつけようがありません。ですから即買ったかというとそうでもなく、私は飲まず嫌いと言いますか、ずっと赤武は避けていました。このような結果が出ているのにも関わらず、嘘くさいと思っていたのです。先入観が解けなかったのですね。

先日遠出をした時に入った酒屋で何も欲しいものが無く、無ければ帰ればいいのですが、「せっかくここまで来たのだから何か買おう。でも何を買おうか」と散々迷っていた時に過去の試飲会の記憶が急に蘇ってこれを買ってきました。

赤武 純米大吟醸

 

  • 赤武 純米大吟醸
  • 岩手 赤武酒造
  • 酒米 結の香
  • 精米歩合 40%

試飲会から数年経って今さら初めて赤武を飲んでいます。現在赤武を飲みながらこの文章を書いています。私が好きな日本酒は、香りが高くてフルーティーな酒です。赤武はそんなに香りが高いわけでもないのですが、初めはマスカットなのかりんごなのか穏やかな果物の香りがします。そのあとに米の旨味が感じられます。そして最後はキレが良くて後味がすっきりです。すっきりしているのですが濃厚な酒という印象があります。香りも旨味も後味のキレもどれも印象的でとても飲みやすく、数年経ってようやく高い評価をだった理由がよくわかりました。

今後は変な先入観を持たないことを教訓にしなければなりません。赤武を見るたびに「勝手な思い込みは捨てろ」と思い出すことになりそうです。しばらく瓶を机に飾っておくことにしましょう。

赤武と十四代本丸と比べるとどうか?

先ほど紹介しました試飲会の「ブラインドで美味しい酒を選ぶ企画」の時、私は一番美味しいと感じた酒に十四代を選んでいました。「十四代の味が最高で一番美味しいもの」という先入観があるのかもしれません。

ですから先入観を捨てるために、今改めてもう一度赤武を飲んでいるのですが、やはり十四代の方が美味しいと私は感じます。赤武の瓶をじっと見てもなかなか印象は変わりません。

十四代の空き瓶に赤武を入れて、入れ替えたことを忘れた頃に飲めば印象が変わるのかな?とも思いますが、ブラインドで飲んで十四代が美味しいと選んでいますので意味がありません。

そもそも純米大吟醸(赤武)と本醸造(十四代)を比べてもしょうがないのかもしれません。むしろ本醸造の十四代の方が純米大吟醸の赤武より美味しいって十四代はどれだけ凄いんだとも思います。

現在人気の酒よりも将来の人気酒を探すのも楽しい

しかし赤武は美味しいです。そして杜氏がまだ二十代ということで非常に若いのにも関わらず酒のクオリティが高いのです。今さらですが、なぜ多くの酒屋が取り扱いを始めたのかがよくわかります。

花陽浴も而今も数年前までは普通に買えていました。しかし今では店に並べた日に即売り切れどころか、店に並ばなくなってきています。赤武がそうなるのかどうかは分かりませんが、これからさらに美味しくなる日本酒を探して追いかけるというのも一つの楽しみではないでしょうか。



赤武 純米 夏霞

赤武 純米大吟醸

赤武 純米吟醸

赤武 純米酒